「さぁ、俺達も出かけるか?」
「どこに?」
出掛けるって、こんな朝早くから何処に出掛けるの?
「どこにって?朝飯どうするんだよ?まさかお前、俺に世話になっといて朝飯も食わせずに帰れとか言う気か!?」
あ…ご飯ね?
「あっじゃ、何処かでご馳走するよ?」
隼翔の車に乗りこみカフェへ向かうと思っていたのだが、隼翔が車を止めたのは24時間営業のスーパーだった。
「隼翔、ここカフェ入ってないよ?」
「飯は買物してお前が家で作れ!」
「え?私が作るの?」
「なに?お前本気でその辺の店で簡単に済ませようとか思った訳!?」
二日酔いの私に、食事を作れとかこいつは鬼か!?
「だって…」
今、うちには食品と言う物は何ひとつ無い。何か作ろうとすれば全て買わなくてはいけない。
でも、今はお金もあまり無いし…かと言って隼翔がこのまま引き下がるとは思わない。
「隼翔、パンとコーヒーで良い?」
「ああ、朝はパンとコーヒーで良いけど、昼はそうだな…」
「ちょっと待って!お昼もうちで食べて行くの!?」
「はぁ!?悪いのかよ!?」
えーマジ…隼翔に食べさせるなら、まともに作らないとダメじゃん…
私は隼翔に背中を向けてこっそり財布の中を確認する。
まっまずい…これは本当にマズイぞ!
財布の中身は千円札2枚と小銭が数枚。私は頭の中でコストの掛からないメニューを必死に考えているうちに、隼翔は買い物カートの中にどんどん食品を入れて行っている。
「はっ隼翔!!ちょっと待ってよ!そんなに入れないで!それは要らない!」
隼翔は、スーパーの入り口のフルーツからどんどんカートに入れて行く。
今、うちにはフルーツを食べさせる様な余裕なんて無いのよ!
隼翔がカートに入れた物を、私が片っ端から売り場に戻すと隼翔は再びカートに入れる。

