"数学準備室に出入りしている女子生徒の中に、その生徒もいるんじゃないんですか?"


まさか、妹尾からそういうことを言われるとは思わなかった。

キィっと椅子が音を立て、後ろに下がった。

机の上には、小テストの採点が途中になってる。


昼休みにそういうことがあったから顔を合わせずらくて、数学準備室に逃げてきた。


もう放課後だ。


今日中に妹尾と話してー…



「高橋ー!いるぅ?」

「!?」

ノックもせずに入ってきたのは、一人の女子生徒。
今、受け持っている生徒だ。

「お前…ノックしろよ…てか、呼び捨てすんなって何回言えばー…」

「高橋に進路の相談があって来たんだよ!聞いてよ、私さぁ」

「聞けよ、人の話を」

「あ、これ今日の小テスト採点?ね、私どうだった!?」

「ばっ、まだ採点中だから見んなっ」

慌てて採点中の小テストを隠そうとしたが、机の下にバラまいてしまった。



「あーあ、高橋のドジ」

「お前のせいだろ…俺一人で拾うから、もう邪魔すんなよ」

「言われなくても、拾わないよ」

「お前は…」

そういえば…

テストを拾いながら、昼休みのことをふと思い出した。


"高橋が好きだからって振られたんだぜ"


振られた男子生徒は最近別れたんだよなー…


この生徒もー…