『へー、そうなんだ』


あと五分、席替え前の最後の授業が終わる。

最後くらい、俺のこと見ろよ。
どうでもいい、なんてお前だけには思って欲しくない。


『買い食いしてるしてるくせにダイエット中とか言い張ってんだよな』


『楽してるように見えて本当は努力してるとこ、知ってる』


お前のことなら、なんでもとは言わねーけど結構知ってるつもりだから。


甘いものが好きで、細いくせにダイエットするとか言って。

明るいこいつに憧れ妬むやつだって少なくない。
それでも揉め事が起こったことがないのは、きっとこいつが誰より全員に気をくばってるから。

本当は見えないところで努力してるくせにそんな素振り少しも感じさせない。


そんなお前が好きなんだよ。
俺の前でくらい、安心してろって抱きしめてやりたい。


だから……


『だからそれ私に言ってどうすんのよ』


お前にだから言ってんだバカ女。


これだけ言って、どうして伝わらないんだよ。この鈍感。


なあ、最後だからこれが。
授業終了間際の最後の足掻き。

これだけ言って伝わらねーなら、諦めるから。だから最後に

『もっとお前のこと知りたいって言ってんだけど、わかんねーの?』


文字書いてて顔赤くなるとか初めてなんだけど。

こんなこっぱずかしいこと、もう二度と言わねー。


いつもより丁寧に書こうとしたのに結局焦って上手くいかない。紙だってかつてないくらいひどい有様。