俺の声が届いたんかな?


そっと目を開ける下村


「下村!!」


「あた…し…」



まだ状況を掴めてない下村が俺を見つめる



その瞬間、下村の右手が俺の左頬を撫でた。



泣かないで

って慰めてくれてるようなすっごい暖かい手が。


生きてる

生きてるやんか…

微かに笑ってるやんか…


俺は下村の手を両手で握りしめた。





初めて下村を見たときを思い出す。




桜を眺める横顔


ポニーテールをしていて顔のラインがはっきりと分かる


小さな口に、大きな目。

なっがいまつ毛にかかる前髪。





あの子は誰やろ


そうおもた時



「愛菜」



矢野先生の声が聞こえた