同じ名前の彼と私




ピーーっ


笛がなって、部活終了の合図がコーチからかかる。



「さくさく動けー」



コーチは男バレ女バレどちらも見てくれているから、大体始まりと終わりは男女一緒だ。


最後の10本サーブで散らばったボールを抱えてカートに入れる。


流れ作業で振り向くと、陽介が割と近くに立っていた。



「…あいつ、なんの用だったの?」


「は?…ああ、登坂?……うん、まぁちょっとね」



さすがに、人様の気持ちをこの超鈍感野郎にベラベラ話す訳にはいかない。

にごして答えると、陽介はムッとしたように眉を寄せた。



「なに、告白?」


「陽介には関係ないでしょー。それとも気になるの?」



この前陽介がしてみたように、挑発するように笑いながらそう言ってみた。