飲み物と軽食を頼んでから落ち着いてから私は伝えたかったことを咲に言った。
「今、"好きな人ができた"
って言った?⋯⋯」
「⋯うん。」
一瞬ポカンとされたけどその後すぐ、
「はぁぁ!!!?!?だっ誰!?!?」
っていつもの咲の元気さのままの声がお店全体に響き渡ってしまった。
「咲!声でかいよ⋯⋯!!」
「ご、ごめん!びっくりして。
中学の時はそんなの莉心から言われたことなかったから、
てっきり男子とかに興味無いのかと思ってて⋯⋯」
確かに⋯⋯中学の時は恋とかするつもりも無かったし、
好きと思える人もいた覚えはなく、
そういうのとは全く無縁だった。
でも、今ならわかる。
好きな人ができた時の嬉しさとか、
告白する時の緊張とか
話せたり、普段見せない素振りを見れた時に
また好きって気持ちが大きくなる感覚とか
友達に聞いてほしい、話したいって思う気持ちが⋯。
「中学の時はあまり興味はなかったけど
でも、高校に入ったら恋とかしてみたいなぁって考えてたんだ。
その人は、
はじめは、いい人だなってぐらいだったんだけど
一緒に過ごしてたうちに
だんだん、これが好きってことなのかもって気づいたの。 」
「そうなんだ!
良かったじゃん
莉心に好きな人ができて、ウチも嬉しいよ!」
「うん。 ありがとう!」
私は、付き合った経験がないからどんな感じなのか想像もつかないけど、
少なくとも中学の頃、何度か男子と付き合っていた咲をそばで見守ってた時は
とても楽しそうだった。
私もあんなふうにいつかなれるのかな───

