とたん────────
「誰がいないって?」
ん⋯?
どこかで聞いたことある声⋯⋯
「た、鷹原先生!?」
後ろを振り向くとドア近くの部屋の壁に
寄りかかって腕を組んでいる、鷹原先生がいた。
扉を閉めてなかったし、いることに全く気づかなくてさっきのを聞かれてしまったみたい⋯。
これはほんとにやばいことになった⋯
会いたくなかったってことをもろ私の口から言ってしまったことになる
合わせる顔がない
とりあえずこの場から立ち去りたいよ⋯。
「えっと、きょ、今日ちょっと体調悪いので帰ります⋯」
私は、そう言って先生に目を合わせないように小走りで空きっぱなしのドアに向かった
────ドンッ
「帰らせるわけないでしょ」
音にびっくりして上を向くと先生が目の前にいた。
ドアのところに手をより掛け通れないようにして立っている。
「な、なんで⋯」
「話あるって言ったろ?
朝から逃げるし、学校で話しかけても避けるし」
や、やめて⋯⋯
それ以上聞かないでよ⋯⋯。
「俺、きのう君になにかした?」
結局、先生の言葉はとまらなくて、一番聞かれたくないことを
今度は逃げられない状態で聞かれてしまった。
しかもかなり機嫌が悪い。

