先生に「とりあえず中入ってくれる?」と言われたので、

私は子供みたいに怒った様子で教室に入った。




すると中にはもうすでに1人座ってる男の子がいた。






見たことあるような気がしなくもない顔だな⋯と思ってたら、





「部員の神崎くん。同じクラスだから知ってると思うけど」



と先生に言われた。



神崎くんという人はその場でペコッとする。


やっぱり!うちのクラスの子だったんだ。






眼鏡をかけていて少し茶色がかった髪は



目にかかるぐらいまで伸びている。




見た目だけで言うとあまり人と接しないようなタイプだと思う。




一人で行動してそうな感じの人。





正直いって、同じクラスと言われてもパッとこなかった。









そんなことを考えてると今度は神崎くんに向かって先生が話しだす。




「この2人は今回のテストの下位2名ね。」




「数学だけでしょ!?」





そんな言い方じゃ総合と勘違いされるじゃん!



どうでもいい事だったけどいちいちこの人の言うことははなにつく




「あーまぁそーだね。


じゃあ数学だけバカなふたりです。」




「なっ!!


バカってなんですか!?生徒に向かって」





「そーだそーだ莉心の言う通りだー」






全く興味なさげだけど咲も賛同する。





ていうかこいつ⋯先生の自覚ちゃんとあるわけ?




いやみったらしく言いやがって


ほんと腹立つ。




いつか教育委員会に訴えられちゃえ





しかも────

「間違ってないでしょう。」


って、



もっと勉強しろよみたいな言い草で言ってくるからさらに腹が立つ!




「だいたいこんな変な部活に入ってるんだから神崎くんだってバカなんでしょ?」




「はぁ⋯。



何言ってんの。廊下に貼り出されてる順位見てない?

神崎くんは全科目1位でしかも数学は100点だから。」



はい?



⋯⋯1位?



⋯⋯100点!?!?




「いや、別に⋯そんな大したことじゃないです⋯」







大したことじゃないですって⋯⋯この人何者!?







さっきなんの気もなく言い放った言葉が恥ずかしく思えてきた







私の7⋯⋯8⋯⋯いや、9倍ぐらいの点数じゃない





私とはまるで次元の違う人ですね⋯。






「ってことで俺は会議とか忙しくてあんま見てられないからそん時は神崎くんに教えてもらうように。





こんなの相手に大変だけど、頼むよ神崎くん。」






おいおい、それに比べてなにこのだめ教師








ただ単に自分がサボりたいだけじゃん







きっと、神崎くんは入ってくれって頼まれて断れなかったんだろうな⋯




可哀想に⋯。