そんな中、咲が面倒くさそうに言った。


「てかさーなに、あるこうかいって。

ウォーキングでもやらされんの?」

「違うよ、愛好会だよ。

私もよく分かんないけど勉強するんでしょ。」

「うわっ何それ。絶対いかねーわ」

「いいよねー咲は。

部活だからっていいわけできるもんね。

私なんか強制だし、しかも毎日だよ?」


ただえさえ家のことで忙しいのに⋯

「だる!

莉心そんなに点数悪かったの?」


私は、あははと苦笑いをうかべる。


さすがにあの点数は口にできないよ⋯。


「咲こそなんで赤点回避できたの?」


咲だけは私の仲間だと思っていたのに!!


って言っちゃ失礼だけど




「あんなん出てきてる数字とりあえずかけ算しとけばなんとかなんの!


それだけでも途中点とかガッポリだよ」



な⋯なるほど⋯!



なんて納得できるわけがない!

そんなの思いつくの咲ぐらいだよ




私なんてそれなりに、ね?それなりにだけど勉強したわけよ。



なのになんであんな点数なの!?


他の教科は悪くはなかったけど、どうして数学はダメなの!?


そんなに数学が将来に必要なわけ?


「あまり数学を勉強しすぎてもバカになりそうだよね?」


なんてね⋯⋯何を言ってるんだか


自分で言っときながら全く言い訳にしか聞こえなかった。



「莉心はそれ以上バカになんないっしょ」


それは言えてる、笑えない冗談だね。


しかも咲に突きつけられたっていう、なんとも言い表せないこの感じ⋯




「はぁ⋯⋯⋯⋯」



私は大きなため息をついた。




その時、いきなりに横のドアがあいた





「君たち丸聞こえなんだけど。」



『げっ⋯』



私と咲は急に出てきた鷹原先生に驚いて変な声が出てしまった。





「あっ部室ってここだったんだ」



先生が出てこなきゃ普通に通り過ぎてたよ。




「そうだよ。



望月さん、かけ算しとけばなんとかなるって?

そんなわけないでしょ。君も1から学んだ方がいいね。強制にしてやろうか?」



「えっ!あ〜!あれ冗談に決まってるじゃないですか!

ちゃんと真面目に解きましたよ~」






咲は頭の後ろに手をやり笑って誤魔化していた。



明らかにウソだろ⋯。








「ま、いいや」




いいんかよ。


「あと鈴木さん。」



ビクッ────



えっ⋯なに、次は私⋯?






ドアにもたれかかったまま今度は私の方を見て言った。




「勉強しすぎてバカになることなんてまずないね、


そういうのは勉強してから言ってください。」





「ぶっ!真面目につ込まれてやんの!」



と、咲は笑う。





顔がどんどん熱くなってくのが分かった。





なんなの!?



自分でも、バカな事言ったなってわかってるよ?





なのに、それを他人に⋯しかもあんな呆れた顔で言われるとさらにムカつく。





悪意あるよね、絶対。



ほんとこの先生、きらい!