「すみません。その子、放してまらえます?」
誰かの声が聞こえた⋯⋯
知らない人だろう⋯
だって私を助けてくれる人なんている訳ないもの⋯。
「はぁ?誰だテメェ」
「⋯⋯父親です。
明らかにうちの娘嫌がってるので」
ち、父親!?
そんなはずはない
父は小さい頃に出ていったんだから⋯⋯
私の顔だって覚えてないだろうし。
そう思って
急いで声の方へ顔をあげると、
そこには買い物袋を片手に持った鷹原先生が立っていた。
「ちっクソ⋯⋯オヤジかよ⋯」
父親と聞いて怖くなったのか
私の手を放して
とっとと逃げていってしまった。
色々、頭の整理がつかないけど
とりあえず先生の方を見て聞いた。
「先生!?何でここにいるんですか?」
「何でって買い物してただけだけど」
ほ、ほんとに買い物してたんだ⋯!
咲の勘は間違ってなかった⋯⋯
「それより、なにその格好。
びといね」
ひ⋯⋯ひどい!?
「なんでですか!
先生のためにわざわざ咲にしてもらったのに⋯⋯!」
「俺の?どういう意味?」
怪訝そうな顔で聞いてきたのですべて事情を説明した

