「あの天然に話を聞いた私が馬鹿だった」

夏休みも折り返し、遂に8月に突入
しかし、真衣の顔色は冴えない

「気分が冴えないねェ、マリッチブル・」

「やかましい」

声楽部から流れる穏やかな歌声
先日にあったコンクールの反省だろうか、千代は真衣の話を聞きながらも若干曲の方に耳を傾けている

「茜にザックリ聞いたのよ、まさとの事どう思ってるって」

「へェ、で何だって?」

「好きだよーって、友達だから」

あぁ、憐れなり
聞こえてくる歌声は、シビアな雰囲気にピッタリに聞こえてくる

今どきいるんだ、天然キャラ

「いっそのこと、自覚させて修羅場に持ち込むのは」

「黙れ人格破綻者」

「最近性格がメアリーに似てきたね」

楽譜に視線を合わせながら真衣に聞く

「どうする、私はどちらでも構わないけれど」

「中村が空気読めないバカだったら恐らく夏休み明けに振る、好きなヤツがいるって」

「ミーが簡単には食い下がらないと?」

美久は別段、千代の様に相手を蹴落として勝ち上がるという術を持っていない
清く正しい心を持っている為、非常に傷付きやすい

「あァ、まさにリアル人魚姫・・」

恍惚とした笑みを浮かべる千代に寒気を感じる、本当に人間失格だ








「美久には伝えない方が良いよね」

「自殺するかも」

「止めなさい」