「告白したの、まさとに」

学校近くにあるオシャレな喫茶店は、値段もそこそこで学生に優しい
軽快なポップスを刻み、大人になった様に感じる

「え・・・・」

私、樋口 真衣はとんでもなく面倒な事に巻き込まれていた










「返事はまだ貰ってなくて・・真衣ちゃんお願い、力を貸して!」

無理とハッキリ断る勇気を私に下さい
友人の頼みなら喜んで引き受けたい、しかし引き受けられない理由がある

「えっと・・・知ってる、まさとの噂 」

「噂、なにそれ?」

テレビで今人気の某アイドルグループの新曲が流れている、けれど今はそれすら雑音にしか聞こえない

「いや、何でもない」

目の前にいる彼女の名は山下 美久
マイナス思考に考えがちな、笑顔の可愛い女の子

美久が惚れているという男の名は中村 まさと、元バスケ部で運動神経は学年でもトップクラスの実績

「取り敢えず、まだ夏休みも始まったばかりだし、気長に待とう!」

きっと終わらぬであろう恋愛相談を無理矢理終わらせ解散する
美久は不服そうだったが最善の策はこれしかない

「・・・・・・・あぁ、何て面倒な」

相談事は何となく予感していた、昨日の次点。問題はそこではない

「中村、ウソでしょ・・・」

美久からのLINEの後、まさとから来たLINE

『俺、もしかしたら茜の事好きかも』

何故揃いも揃って私に報告すると何度か壁に頭を打ち付けた

そう言えば数学の点数が良くなかった、勉強しておこう。ライブのチケットも今のうちに買わないと良い席取れないからなぁ

どんなに逃げようとしても恐らく不可能

あぁ、あの子の姿が目に浮かぶ
人の不幸を喰って生きている様な性格の良い(悪い意味での)友人が

アイツならこの状況、きっと楽しみながら協力するだろう
誰がどんな結果になろうと、得をするのはアイツだけではないか

「今回限りで良いから・・・マジで助けて千代」