「じゃー俺もう行くから」
「え?あッ待って!」
「…………」
無視かよっ‼
あたしの言葉を軽くスルーして、さっさと家に繋がっている扉の奥へと消えていってしまった。
バカ琥侑。
無視されるとか……なんか、淋しいじゃんか。
「ねぇ」
智紗ちゃんに呼びかけられ、想いに耽っていたあたしは我に返る。
やばっ、何やってんだアタシ……
「何?智紗ちゃん?」
「は……?アタシの名前、気安く呼んでんじゃないわよ」
…………
……ん?
いま….確か
『気安く呼んでんじゃないわよ』って……?
「アンタ、琥侑くんが好きなの?」
さっきまでの可愛らしい智紗ちゃんはどこへやら。
後ろから真っ黒なオーラを出して、あたしを睨みつけている。
えぇ?


