「は……バイト?」
「そうよ、夏休み限定だけど」
琥侑は珍しくキョトンとした顔で、理英子さんを見る。
「ヒメちゃんにも紹介するね。息子の琥侑よ」
「息子……?」
「ええ、そうよ?」
「それが何?」と言いたげな顔で、理英子さんはあたしに向かって首を傾げる。
……息子?
息子ということは、“家族”ってことよね……
って、
「家族ぅううぅぅッ!?」
キーンと、耳鳴りがするくらい大きな声でアタシは叫ぶ。
それが店中いき渡り、エコーを付けてあたしに返ってくる。
近くにいた理英子さんと琥侑は、うるさそうに顔をしかめた。
「アンタこの家の住人だったってワケ!?」


