「……メ……ヒメっ‼」
……ふいに、あたしを呼ぶ声が聞こえた。
「へ……」
ゆっくりと呼ぶ声の方へ振り返ってみると、駅で見かけた琥侑が走ってこちらに向かって来ている。
「な……!?」
何で琥侑がココにいんの!?
あたしが驚いているうちに、琥侑は到着してしまった。
そして今、荒い息を整えようと空気を思い切り吸っている。
「ななな何で琥侑がここにいるわけ!?」
「何でじゃねーよ!お前、俺に気付いたんなら声かけろよ‼」
……もしかして
「ソレ……言う為に追いかけて来たの……?」
「悪いか!?」
嘘でしょ……?
それってあの子放って、あたしの為に走ってきてくれたってことでしょう?
有り得ない……。
「いえ……悪くない、です」
「それで良し」
有り得ない。
有り得ない。
何であたし、ちょっと嬉しくなってんの?


