「……っ」
琥侑に気付かれないうちに走って駅から逃げた。
ただ、抑えきれない衝動があたしの体を動かしたんだ。
……マリカちゃんの噂は、本当だった。
もう、認めるしかない。
もう、この現実を真っ直ぐ見るしかないんだ。
事実、琥侑はああやって女の子と歩いていたんだから。
……でも、何でアタシは逃げてるの?
あたしと琥侑は友達。
ううん、隣の席のただのクラスメート。
逃げる必要なんて、これっぽちも存在しない。
ただ、「彼女居たんだ」って二人に笑ってどこか行けばいいじゃない。
なのに……
なのに……
何であたし……
「……っあ」


