「ん?ごめん聞こえなかった。もう1回言って?」


「あ!ううん?別に大した事じゃないから」



そう言って笑うゆっちは明らかに焦っている。

……怪しい。



「……ねぇホントに何?」


「あー!なっちゃんのトコ行かなきゃ‼
じゃっ」


「え!ちょっ……!?」



ゆっちは甲高くそう叫ぶと、そそくさとなっちゃんのもとへ走っていく。


結局、ゆっちが何を言ったのか分からないまま。



全くもぅ……

何でゆっちもてんちゃんも、あたしが琥侑のこと好きだと思ってんの?


琥侑の言葉が頭から離れないけど……

でも、それってその言葉がグッときたって事でしょう?



絶対“好き”とか、そういう感情は入ってない。

うん、きっと……いや、絶対そう。









「ヒメ」


ハッと我に返ると、隣の席には居なかった琥侑が。

いつものようにドカンと足を机に上げて、とっても偉そう。


何で琥侑って考え事してるときばっか現れんの!?



「琥侑……どっ、どうしたの?」