「姫瑚が佐賀里くんを好きだからでしょ?」


「っ‼‼」



突然、後ろから声が聞こえたのでビックリして振り返るとそこにはゆっちが君臨していた。

怪しげな笑みを浮かべて、ドンッ!と仁王立ちしている。


普段から存在感バツグンだから、いつも以上に迫力を増しているゆっち。



「どしたの……?ていうか、何であたしが琥侑を好きになるわけ?」


「ん?違うの?」


「ちっがぁーーーうっっ‼‼」



どうしてドイツもコイツも勘違いしてるんだ!?

あたしはこれっぽっちも琥侑のこと好きじゃないのに‼



「んー違うのか。あたしにはそう見えたんだけど……」


「は?」



ゆっちはあたしの前の席から椅子を借りて、向き合うように座った。


そしてジッとあたしの目を見ながらにやりと口角を上げる。



「だって佐賀里くんと居る姫瑚、とっても楽しそうだよ?」


「っ‼‼」



楽しそう!?


「まさか‼そ、っそりゃ……前よりは嫌いじゃなくなったけど……でも好き、とかそういうのは……」



ゴニョゴニョと語尾を濁すと、ゆっちは何とも言えない表情を見せた。



「まぁ、気づいていないだけかな?」