「コイツちょっと借りるから」
「は?」
あたしは琥侑の言葉がうまく掴めず、ポカンと口を開く。
「どうぞ?別に誰のモノでもないし」
ゆっちは琥侑と会話しているにもかかわらず、あたしの方を向いてニンマリ笑ってきた。
……ナゼ?
「あっそう、じゃ」
琥侑はそっけなくそう言うと、あたしの右腕を引っ張り席から立たす。
っっ‼
……気づくのが、一歩遅かった。
あたしはもう琥侑に腕を掴まれていて逃げられない。
迷うことなくあたしを連れて教室から出ようとしている琥侑。
「っちょ‼」
そしてふと、目に飛び込んできたのはゆっちの前に立つなっちゃんの姿。
なっちゃんがゆっちを連れて、あたしたちと反対方向のドアへ向かっている。
……ドーユーコト!?


