「……たに……がわかるの……」
「は?」
「アンタに何がわかるって言うの‼」
あたしはスクールカバンにたっぷりと怒りを込め、琥侑目掛けてぶん投げた。
琥侑はあたしの横にいて、かなり近距離だったので相当のダメージだろう。
「い……ってぇ‼」
琥侑はものすごくお怒りのご様子で、あたしを思い切りガン飛ばしてくる。
でも、そんな事に今のあたしが怯むことは無く声を荒げた。
「なっちゃんはゆっちが好きなんだよ!?それなのに想い続けてどうなんの!」
アタシの気持ちなんかわかんないくせに……
「琥侑のバカ‼」
琥侑にそう言い放ち、投げたスクールカバンを拾って駅に向かって走り出した。
わかんないくせに偉そうなこと言わないでっ。
これ以上掻き乱さないでよ。
『それって逃げてるだけじゃねえ?』
『諦めるとかキレイゴト言って……』
本当のこと、言わないでよ。
どんどん決心が鈍るから。
このままじゃ、諦められなくなる。


