「……諦めんのか?」
「はい?」
……本当に琥侑とは会話のキャッチボールが出来ない。
琥侑はあたしの質問を無視して、自分から新しい質問をしてきた。
「諦めるって……何をよ」
「ナツの事に決まってんだろ」
諦めるって……
「そんなの分かりきってるでしょ」
なっちゃんはゆっちが好き。
あたしがこのまま好きでいても、不毛な恋なんだから。
こんな気持ち諦めるしか選択肢ないじゃん……
「それって逃げてるだけじゃねえ?」
は……?
逃げてる?
「な、何ソレ。どーゆう意味よ……」
あたしは琥侑の言葉に戸惑いを隠せず、震える声で問う。
そんなあたしの様子を気にもせず、琥侑は話を続けた。
「諦めるとかキレイゴト言って、どーせ未練タラタラ。ソレって今の状況から逃げてるだけだろ」
「はぁ!?」
何言ってんのコイツ‼
人がせっかく諦める決心したって言うのに今度は何なのよ!?
つーか、いつもなんか上から目線だし‼
あたしは今の怒りと今までの怒りが一気にこみ上げてきて、両手で握り拳を作った。
あまりに強く握りすぎて、腕全体が小刻みに震える。


