そんなあたしを茶化す事無く、琥侑は傍にあった青いキャリーバッグを掴んだ。

と、同時に結んでいた手の平はいとも簡単にほどけてしまった。



「……じゃあな。ヒメ」







この時の……

琥侑の去っていく姿が、その後もずっと忘れられなかった。