「えっ……ちょ、待ってよ!」
帰ろうとする琥侑のブレザーの裾を掴み、あたしは待ったをかける。
「あたし行かないよ!?」
琥侑はまだ認めてないかもだけど……
あたしたち別れたんだから。
なのに見送りとか行っちゃったら、あたし気持ち抑えられなくなっちゃうかも。
「離れたくない」とか駄々こねちゃって、琥侑に迷惑かけちゃうかも。
そんな事には絶対なりたくないよ。
「ヒメ」
服の裾を掴んだまま黙り込んでいるあたしを、琥侑は無表情のまま見下ろす。
「俺の我が儘も聞け」
…………
……え?
あたしはビックリして、思わず服の裾から手を離した。
「じゃ、3日後な」
……琥侑は少しだけ笑って教室から出て行った。


