だから、お前はほっとけねぇんだよ




それから、あたし達のすれ違いの日々が始まった。



同じ学校に行って隣の席に居るっていうのに、目も合わさず。

当然、話なんてしていない。



3回あった席替えで奇跡的に琥侑と隣の席になれたときは、すっごくうれしくて盛大に喜んだのに。


今は、琥侑が隣に居るという事さえ気まずくて、あたしはありえないくらい一所懸命に授業に取り組んだ。

おかげで学年末テストでは高校に入って最高得点が出た。





そして終業式。

……琥侑がこの学校に居る最後の日がやって来た。



「春休みもハメを外しすぎないように。以上」


「きりーつ」



……担任の話が終わり日直が号令をして、一気にクラスが賑わいを見せる。


あたしは座ったまま、机のサイドに掛けてあるスクールバッグに手を掛けた。




「ヒメ」


……一瞬、心臓が止まったかと思ったくらい、あたしはひどく驚いた。



「なに?

……琥侑」



まだ席に座っていたあたしは、立ち上がって自分の机にもたれている琥侑にゆっくり視線を移した。



「今日の3日後、朝10時に空港集合」


「は?」



3日後って…

琥侑がフランスに旅立つ日じゃん‼



「じゃ、遅刻厳禁だからな」