「行かねぇよ、……フランスなんて遠いところ」 ……まるで、 行ってほくないと思っているあたしの気持ちを見透かしてるみたいな言葉だった。 「で、でも……それってチャンスなんじゃないの?」 「そうだけど……俺にはフランスに行けるほどの技術、まだねーよ。今行っても無理だ」 「でも……」 すると琥侑はあたしの唇に人差し指を落とし、話す事を止めるよう促す。 「俺が良いって言うんだから、いいんだよ」 ……琥侑はあたしを見ながらそう言うけれど、何だか言葉を選んでいるような気がした。