「っゔ……」
痛い所をつかれてしまって、あたしは顔を歪めた。
そんなあたしの表情を見た琥侑は、笑いを溢す。
「ヒメ、ガイドブックとか持ってねーの?」
ふいに足を止め、クルッとこちらへ向いた琥侑。
「へ?あったと……思うけど……」
琥侑に促されてあたしは急いでスクール鞄を探る。
そして鞄の奥の奥にちょっと汚れてしまっている旅行雑誌を見つけて、「はい」と言って琥侑に渡すと、パラパラとページをめくり始めた。
「ねーどうしたの?」
「どうしたのって……どこ行くか決めないといけねーだろ」
「あ、そっか」
えー……じゃあ、
「あたし清水寺行きたい‼」
あたしが元気よくそう言うと、琥侑は急にしらけた視線をあたしに向けてきた。
「アホかお前は」


