「~~ッねぇ‼ちょっとどーしたの!?」
あたしは教室のドア目前にして、琥侑の手を振りほどいた。
「どうしたって……カバン取んなきゃ帰れねぇだろーが」
ピクリと片方の眉を動かし、やっぱり不機嫌な琥侑。
「あ……そうです、ね」
そんな琥侑に、あたしは返事を返すことしかできない。
そうしてるうちに、さっさと二人分の鞄を取ってきた琥侑はあたしの元へやって来る。
そして片方の鞄をあたしに差し出した。
「ほら、荷物入れろよ」
「う、うん……」
あたしは慌てて、持っていた居残り勉強で使った宿題たちを鞄へ押し込んだ。
「帰ろ」
そう言って、琥侑はあたしの手を握ってきた。
……何気なく握られた手。
その仕草に、ドキンと胸が高鳴った。


