だから、お前はほっとけねぇんだよ



*****


「……アホかお前は」



琥侑がそう言ったかと思ったら、あたしはいつのまにやら抱き寄せられていた。

突然の出来事に、驚いて目を見開く。



「んなワケあるかよ」



ハーッと溜息を吐きながら、あたしの肩に顎を乗せた琥侑。

そんな些細な琥侑の仕草に、思わず高鳴ってしまったあたしの心臓。



あたしはバクバクと鳴り出した心臓に戸惑いながら、琥侑に言う。



「……で、でもてんちゃんに告らせたじゃん」



なのにあたしの事は好きって……

そんなの矛盾してるよ……。



だって告らすってことは……


「あたしがてんちゃんの告白……OKしたとしても琥侑は別に良かったって事なんでしょ?」



あたしは琥侑の胸に顔を埋めた。

このままじゃ、何だか泣いてしまいそうだよ……。



「だからそう言う事じゃないって」


「っわ……」



キュッと、抱き締める力を強くする琥侑。




「ただ…」



言葉を切った琥侑。


……きっと何を言うか考えているんだろう。

あたしはそう思い、ただ黙って琥侑の言葉を待った。