「それは……」
俺が言葉を選んでいると、ヒメは目を逸らした。
「あたしの事好きじゃないからできたの?」
声を震わすヒメ。
さっきとは打って変わって、今にも泣き出しそうな雰囲気だ。
「ちょ、落ち着け。なんで天野に告らせただけで俺がヒメを好きじゃないって事になるんだよ」
自分が一番落ち着いていないが、俺は冷静を装ってヒメに言った。
「だってあたしが告られても平気なんでしょ?それって興味無い証拠じゃん……」
ベソベソと物言うヒメに、俺は意表を突かれた。
コイツ……
俺の気も知らずに、よくも平然とそんな事を言う。
お前は知らねぇだろうが、お前が俺を想う以上に、俺はお前を好きなんだよ。
……なのに何で、
告らせただけで俺が好きじゃないって決め付けるんだよ。
「……アホかお前は」
俺はそう言いながら、ヒメの右手を引っ張った。


