『じゃあ待ってるからあとで来てね。ウチ、あの角曲がってすぐの所だから』
『わかった。じゃーまたな』
……あ、言ったな。
「それなのに何でてんちゃんが来たの?」
「あー、それは俺が行かせたんだよ」
俺がそう言った瞬間、ヒメはキッと睨んできた。
「琥侑の考えてる事、理解できない」
………………
……は?
何怒ってんだ?
たかが家行かなかっただけだろ。
「俺はお前の言いたい事が解んねーよ」
面倒くさそうに言い捨てると、急に弱々しい表情を見せるヒメ。
「だって……
琥侑がてんちゃんに告るように言ったんでしょ?」
ヒメの瞳の奥が、微かに揺れている。
そんなヒメにたじろいで、俺は言葉を失ってしまった。
「何で告らせたりするの……?」


