公園に着くと、ヒメは独りでベンチに座っていた。
……ベンチの隅にちょこんと座り俯いているヒメ。
無性に抱き締めたくなる衝動を抑え、俺はゆっくりと近づいた。
「ヒメ」
俺がそう言うと、俯いていた顔を上げるヒメ。
「……琥侑」
そう言って俺を見たヒメはどこか淋しそうで、変な錯覚しそうなくらいだ。
「どした?元気ねーじゃん」
「……琥侑、あたしと約束したよね?」
俺の質問を無視し逆に質問してきたヒメに、俺は眉をひそめる。
「は?約束?」
そんなのしたっけ?
「もう忘れたの?てんちゃんと話が終わったら家に来てみたいな事、あたし言ったじゃん」
……心なしか、ヒメが怒っている気がする。
そんなヒメに少々戸惑いながら、俺は記憶を探った。


