だから、お前はほっとけねぇんだよ


俺を挑発するように言葉を述べた天野は、明らかに楽しそう。



「あたりめーだ」



そんな天野に俺は少しだけ笑って、その場を後にした。





外に出るといつの間にか、辺りはすっかり茜色になっていた。

公園に行く途中に吹く風は涼しくて、少しだけ秋の匂いを感じる。



……もうすぐ、夏休みも終わる。


振り返れば、高2の夏はあっという間だったのにいろんな出来事が一気にやって来た。



ヒメと付き合いだしたのだって、ほんの数週間前。


高1の冬、ヒメと初めて会ったときにはこうやって付き合う事になるなんて思っても見なかった。

しかもヒメは最初、ナツのことが好きだったし……。



一生言うことは無いだろうけど、俺はその頃からヒメを好きだった。



「……はー」



俺は深い溜息を吐きながら、茜の空を仰いだ。



……早く

ヒメに会いてぇ。