「……お?まだ居たのかよお前」
ドアが開き、現れたのは天野だった。
「まだって……人ん家ほったらかして帰れるかよ」
「ああ、そうだったな。わりぃわりぃ」
そう言って苦笑いする天野は、何だか機嫌が良い。
「あ、そうだ天野。お前“タイヤ公園”わかるか?」
「タイヤ公園?それならウチの通りまっすぐ進んでったらすぐだけど……」
不思議そうな顔をしながら、タイヤ公園の所在地を教えてくれた天野。
「サンキュ、じゃあ俺帰るから」
「あ‼ちょっと待て!」
立ち上がった俺を、天野は慌てたように引き止めた。
「ありがとうな今日は。佐賀里のおかげで姫瑚への気持ちにけりつけれた」
……俺を見据えてそう言った天野はもう弱気じゃなかった。
「姫瑚の事、泣かすなよ」


