ヒメはあの祭りの日以来、俺とまともに口を利こうとしない。

バイトに来ても極力俺を避けてるし、視線を合わせようとしない。


……はぁ、俺なんかしたかよ。



レジの前で頬杖をつく俺は、店内の掃除をしているヒメを横目で見る。

……俺の前以外ではやっぱり普通なヒメ。



くっそー、どうすりゃいいんだよ。



「直接聞いてみれば良いのに」


「っ‼」



驚いて振り返ると、そこには通勤前の姉貴が腕組みして俺を見下ろしていた。



「どうせヒメちゃんの事でしょ?明らかにアンタにだけ様子おかしいもんね」


「うっせーよ」



ニヤニヤとからかう姉貴に、俺は乱暴に言葉を吐く。



「ま、健闘を祈る」


「はいはい」


「じゃ、行って来ます」