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「ねぇ、ゆっち」
お祭りがあるせいか、駅はいつもに増して人口密度が高い。
みんな楽しそうに、まだ薄明るい街に向かって飛び出している。
「やっぱ、帰る」
……その中で一人、不機嫌のあたし。
「はいー?こーんなオシャレして来て、姫瑚ちゃんは今更何言ってんのかなー?」
上機嫌のゆっちは、むくれてるあたしの頬をツンツン突っつく。
――ギクッ‼
た、確かに今日は浴衣や髪型、何から何まで完璧にしてきた。
「……そ、それは」
「それに、佐賀里くんとデート行けるチャンスじゃん!」
ゆっちはどんどんと一人テンションを上げていく。
「まあ……そうだけど……」
「でしょでしょ?ていうか、もうこの際だから告っちゃいなよ‼」
そう言ってニヤつくゆっちの言葉に、あたしはハッとする。
そういえば……
琥侑と付き合えたこと、ゆっちに報告してない。


