「もうお前どっか行け」
琥侑はさらに不機嫌な顔で理英子さんに言い捨てる。
……え?
「付き合った途端、コレだもんねぇ。はいはい、邪魔者は退散しますよー。じゃあねヒメちゃんっ」
「え?あ、はい……」
「バイバイ」と口パクして、小さく手を振る理英子さんにあたしもつられて手を振る。
……理英子さん、“付き合った途端”って言ったよね?
じゃあ、やっぱり……
「次のバイトって明後日だよな」
そう聞く琥侑はさっきと雰囲気が違う。
……どうやら機嫌を直したようだ。
視線が……柔らかい。
「あ、うん。そうだよ?」
あたしがそう言ったと同時に、琥侑はあたしのおでこにサッとキスをした。
「っ‼」


