涙の膜で潤んだ瞳が、視界を邪魔する。 胸がギュってなって……少し苦しい。 「……じゃあお前は何で怒ったんだよ」 琥侑はあたしから視線を逸らし、低く呟いた。 「お、怒ったんじゃない……あたしはただ……」 ただ…… あたしはそこで言葉を切り、少し俯く。 『伝えないままで何か変わるの?』 昨日言われたがっくんの言葉。 ……この言葉、信じるって決めたんだ。 「琥侑があたしの事、好きかわかんないのにキスしたくなかった……」 ……あたしの目から、大粒の涙が零れた。