琥侑が指したのは、窓から見える空。
……何だか、雲行きが怪しい。
「天気予報、雨って言ってたっけ?」
「いや、くもりって言ってた」
この雲の様子じゃ、どうもくもりじゃ済まなさそう。
確かに雨じゃどこも行きたくないもんね。
ていうか、
「どーしよ。あたし傘持ってきてないよ」
「あー、ウチの借りてきゃよくね?」
…ん?
「そ、そう……だね」
「おう」
あたしは戸惑いながら返事をした。
なんか……おかしい。
何か琥侑、妙に優しくない?
いつもなら、
「お前くもりだったら傘持ってくんだろ」
とか、
「人んちの傘借りるなんて図々し過ぎるんだよ」
とか言うのに……。


