「……小遣いピンチだからな」
そっぽを向いたままボソッと呟いた琥侑。
琥侑のその言葉を聞いて、あたしはホッと胸を撫で下ろす。
……良かった。
あたしのせいじゃなかったんだ。
「単にヒメちゃんと居たいだけでしょ?」
琥侑を見ながらくすりと笑う理英子さん。
「は?バカ、ちげーよ」
不機嫌な琥侑はすかさず理英子さんに言った。
そんな琥侑の反応に、あたしはムッと顔を歪ませる。
……そんなにハッキリ言わなくても良いじゃん。
「じゃあー二人とも店番よろしく‼」
「えっ、あ……」
あたしが返事をする暇もなく、理英子さんは厨房へと消えて行った。
「…………」
チラッと横を盗み見すると、そこには確かに琥侑がいる。
ど、どうしよ……
二人きりになっちゃった……


