「おいっ‼」 声がしたと思ったら、グンッと右腕に圧迫が襲う。 その拍子に足がもつれて、こけそうになった。 「えっ!?」 腕を引っ張った張本人を見ようと咄嗟に上を見上げるが、暗くてよく見えない。 ただひとつ、判るのは……男の人だってこと。 だ、だれっ!? 「……走るぞ」 「え……っって‼」 息をつく暇もなく走り出したヤツに引っ張られ、あたしも慌てて走り出す。 ――フワッ その瞬間、香ったヤツの匂い。 この匂い、まさか……?