薄い藍色の空気が、あたしたちを包む。
あたしとてんちゃんの家はバス停から歩いて約20分。
ちょっと遠いけど、すぐそこのタイヤ公園を通れば10分で済む。
「……タイヤ公園から行く?」
呟くように聞くてんちゃんに、あたしは返事の変わりにコクンと頷いた。
久しぶりのタイヤ公園は、夜だからか人がいない。
「懐かしいね。小さい頃、よく二人で遊んだよね」
あたしは公園の遊具を見つめ、てんちゃんに言う。
「……あの頃の姫瑚、泣いてばっかだったよな」
「えーそうだっけ?」
横目で見たてんちゃんは、少し目を細め懐かしそうな顔をしている。
……きっと、あたしと同じように思い出してるんだね。
「……なぁ、姫瑚」


