「あのさ……」 先にものを言ったのは、あたし。 「……何?」 琥侑は低い声で返事をするが、顔はあたしから逸らしたまま。 ……そんな琥侑を横目に、膝の上でギュッと硬く拳を作りあたしは緊張を紛らわす。 「さっき言ったこと…… 忘れて?」 ……今日、半日考えて出した答え。 結局、逃げる道を選んだあたしはなっちゃんの時と変わらず臆病で弱虫。 でも、もうどう言われてもいい。 あたしはこれが1番良い答えだって思う。 ……きっと。