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「わーキレー」
スマホで茜色の海を撮るゆっちはとっても楽しそう。
「なっちゃんも見てるー?」
「見てる見てる」
そんなゆっちにニコニコと眺めるなっちゃん。
……あれからあっという間に時間は過ぎ、辺りは茜色に染まっていた。
ゆらゆらと揺れる窓越しの海が、あたしたちに輝きを魅せる。
告ってしまった後から、ずっと琥侑を避け続けたあたし。
でも……
「「…………」」
運悪く、バスの席で琥侑とおトナリに。
バスに乗ってもう20分くらい経ったけれど、未だ沈黙のあたしたち。
バスが信号につかまるたび、あたしの肩が琥侑に掠る。
……こういう時、バスを恨んでしまうのは言うまでもない。
でもその時、不覚にも胸が高鳴ってしまうあたしが一番虚しい。
あんな事があっても諦め切れないあたしって……何なんだろ。


