「俺」
「アノサッ‼‼」
声を裏返し、あたしは琥侑の言葉を遮った。
「あああたしっ、よよ用事おおお思いいい出した‼」
「は……?」
あまりにも吃音の激しいあたしの言葉に、琥侑は顔を歪ませる。
そんな琥侑もお構いなしに、あたしはジリジリと後ずさり。
「っじゃ‼」
脂汗までもが限界に達したアタシは、それだけ言うとマッハでその場から逃走した。
「あ!おいヒメっ‼」
少し遠くで琥侑が名前を呼ぶけれど、あたしには耳に入ってこなかった。
聞けない。
聞けるわけない。
琥侑の答えは……きっとNOだから。
『あのさ……』
あの時の重たい唇。
いつになく、優しい声。
もうそれは……
あたしにとってはNOの代わりだよ。


