黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う


その寸前、ヘリオトロープが不意に振り返った。

私の姿がすぐ後ろにないことにまず目を見張り、更に後方のこちらを見て、顔を歪めたのが視界の端で見えて。

私の視界は薄闇に包まれた。



ぴちょん、と配水管から零れ落ちた水がどこかで跳ねる音が響く。

私はどさりと無造作に投げ出された。

「う・・・」

鈍い痛みに私は身をよじる。

「あーおいおい04。止めろよ丁寧に扱えって言われただろ」

頭上で‪新しい声がして、私は這いつくばったまま顔を僅かに上げた。頭にきんと響く高い声が特徴的な頭にターバンを巻いた男がこちらを見ている。

仲間がいるのか。

04と呼ばれた私を捕まえた男が、面倒くさそうに舌打ちした。

「んだよ、うるせぇな09。良いだろ別にこれぐらい。このくらいじゃあ壊れねぇよ」

冷たく見下ろしてくる瞳に私はしゃがみこんだまま身震いする。

壊れる、という言葉にこの男たちがこのようなことをするのは初めてではなくて、寧ろ手馴れているのだとわかってしまい体が固まった。

その私の様子を見て09がけらけらと愉しそうに笑った。

「んーどうしたのかなお姫様?そんなに怖がらなくてもいいんだよ?今からいいところに連れて行ってあげるからね~」

お姫様?

私の正体がわかっていて攫った、のか。それならば、尚更私は口を開くわけにはいかない。

唇を引き結んだ私につまらなそうに鼻を鳴らすと、04が膝を曲げて私のフードを払い落とした。

ひゅう、と下卑た口笛が頭上から聞こえる。

「きっれーな白髪。それに黄金の瞳。間違いねぇな、アムネシアスムリィ姫だ」