それでも、それを聞いて少し心が暖かくなった。
あの花を私にくれたのが、本当に純粋な私に対する善意が理由だというのなら。それはどれだけ優しい話なのだろうか。
次会えたら、兄様に、私は本当は話せるのだと打ち明けよう。そして・・・謝って、お礼を言おう。
これだけではなく、今までのこと、全て。
フードの奥でこっそり笑っていると、おい、と隣から切羽詰まった声がかけられた。
ただならぬ気配にぴくりと体を揺らす。
「な、なに?」
周囲を窺い、耳を澄ませてみる。
その途端、周りからいくつものひそひそ声が耳に飛び込んできた。
「ねぇ、見た?」
「見たわよ、少しだったけれど、あの子の髪」
「白、だったわよね」
「え、待てよそれって、もしかして」
・・・大変だ。聞く限り、不幸中の幸いと言うべきか瞳は見られていないようだが、何人もが私の白髪を見ている。
立ち尽くす私の腕をヘリオトロープが掴んだ。
「とりあえず、一旦撒くぞ」
「う、うん」
ヘリオトロープが私の腕は優しく掴んだまま、それでいて強く引いて走り出した。
私は今度こそしっかりフードを押さえてついていく。
私たちは上手い具合に人混みに紛れ込んで、囁いていた人々の声も視線も感じなくなった。
人の波に揉まれながらも私はほっとため息をつく。
一安心したのか、前を向いて進むヘリオトロープの手も緩んだ。
「あ、ちょ・・・」
手が離れて距離が開き始める。


