黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う


ヘリオトロープは無意識のうちに、私は王族の分類ではないと思っているのだ。

どうせ一時の関係、別に彼にどう思われようと構わないけれど、それがなんとなく嬉しかった。


「―――おい」

「ふぇっ!」

突然耳元で声がして驚いて飛び上がった。

早鐘を打つ心臓を抑えながら顔を向ける。

「・・・ヘリオトロープ」

「お前な、もう少し周りを見ろよ。変な奴らが多いんだからな」

「はは・・・」

呆れたように嘆息するヘリオトロープに何も言えず、私は愛想笑いをする。

その様子を暫く見た後、ヘリオトロープが口を開いた。

「腕出せ」

特に断る道理もないので、左腕を伸ばす。

するとヘリオトロープは外套に手を突っ込んで何かを取り出し、無造作にそこに巻き付けた。

なんだろう、と不審に思いながら、月明かりに照らす。

雲の合間から覗く大きな月にきらりと白く光ったのは、先程露店で見た護り石だった。

深い桃色―――アザレアピンクとでも言えば良いのだろうか、そんな色の革紐に小さな護り石が3つ編み込まれている。

状況に頭が追いつかず腕を掲げたまま数歩後ずさると、石は私の瞳と同色に煌めいた。

「え、これ」

どうにか口をぱくぱくとさせると、ヘリオトロープはなんの感慨もなさそうに木にもたれて目を細めた。

「欲しがってただろう。それに・・・今日は記憶に残さなければいけない日だから。物は残るから、な」