「この石はね、月の光を浴びると白く濁るんだよ。月の力を分けてもらってるのさ。幻想的だよねえ」
「へえ・・・」
何故か覗き込むような目線に、私は顔、特に瞳を見られないようにフードを深く引き下げた。
「ありゃ、お嬢さん何で顔隠すんだい?今巷じゃあ瞳の色に合わせて石を買うのが流行ってるんだけど」
「え、いや、」
しどろもどろになる私の腕をヘリオトロープが掴んだ。
「すみません、少し人と話すのが苦手なんですよ・・・それでは」
言葉がどこか棘を含んでいる気がするけれど、きっと今もにこやかに微笑んでいるのだろう。ヘリオトロープは両手でフードを押さえている私の腕を引っ張って歩き出す。
ヘリオトロープは大きな木の下の休憩所のような場所で立ち止まると、しゃがんで私に目線を合わせた。
さっきも声を聞いて思ったが、目が明らかに怒っている。
「ご、ごめんなさい、ばれそうになって」
刺すような目つきに思わず謝ると、はぁ?とヘリオトロープが口を曲げた。
「お前にどうして怒るんだ・・・不快な思いをしているんじゃないかと思ってな」
要領を得ない言葉に首を捻る。
「あの女の人が?」
「そんなわけないだろう。お前がだ」
ぽかんと口を開ける私を見てヘリオトロープが視線を逸らした。


