黄金の唄姫と守護騎士はセカイに愛を謳う


淡々と吐き捨てるその顔が何故か少し翳って見えて、首を傾げる。

「そんなに飛ぶ、ってことが嫌なの?」

「・・・ほら、着いたぞ、街だ」

私は尋ねてみたもののするりと避けられ、ヘリオトロープは顔を前に向けた。

それに慣れてきてしまった自分に少し唇を尖らせながらも、彼に従う。

「わ・・・!」

と、飛び込んできた情景に、ぽかんと口が開く。

とにかく、人、人、人。

沢山の人が行き交い、時折ぶつかりそうになりながらもみくちゃになっている。

でもそれで気分を害しているような人はおらず、辺りには景気の良い笑い声に満ちていた。

人々の心を落ち着かせるはずの暗闇は、今はお呼びではないのだと言わんばかりに色とりどりのランプに照らされ、散り散りになっている。

昼なのか夜なのか、時間を感じさせない明るさだ。

あたたかい、優しさを感じさせるような明るさ。

そして何より、ここにいる誰もが楽しそうだった。

「凄い・・・」

城壁から出ただけで、こんなにも違うだなんて。まるで別世界にでも来たみたいだ。堪えきれずに思わず呟いた。

「そうだな」

「!」

ほとんど独り事みたいな、返事を期待していた呟きでは無かったので、すぐ傍から声がかけられて驚く。

顔を見上げると、ヘリオトロープは視線を避けるように顔を僅かに背けて、私をそっと地面に降ろした。