「お前のせいでもう時間も大分押したからな、行くぞ、掴まれ」
「やっぱり返事はしないんだね・・・っおわ、きみ、馬鹿なの――――――!?」
ヘリオトロープが無造作に窓から身を投げ出した。
突然襲った浮遊感と落下感に目の前の少年にしがみつく。
こ、これ、本当にいけないやつじゃ。
上から見た感じだと、この高さ、普通に落ちたらまず即死だ。
風圧に堪らず目を閉じると、暗闇の中でびゅうびゅうという風の音だけが耳を侵す。
ヘリオトロープにしがみつく腕に力を込めた。何が何だかわからないけれど、腹立たしいことに頼れるのはこの無謀なことを敢行した少年だけだ。
加速が止まらない。このままだと、本当に地面と衝突する―――!
そう思ったとき、ふわりと急に反対向きに圧がかかり、スピードががくんと落ちる。
そのまま、止まった。
「・・・え、生きてる・・・?」
少しフードをずらして窺いみると、紫の瞳と目ががあった。
「わ!」
思わず体を仰け反らせる。
「なんだその反応は。誰のおかげでこうして無事なんだと思ってるんだ」
“ずり落ちた”外套を直しながら不機嫌そうに囁かれた言葉に周りを見回す。
「じ、地面に立ってる・・・」
「俺がな」
こんなときだけ返事をするのか。じとっと睨むと冷ややかに見つめ返された。


